しあわせの青い惑星

ドラえもんの新しいシナリオを作るブログ

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copyright © 2012 しあわせの青い惑星

[原作にないひみつ道具]

◆パズルライト

 このライトの光に当たった物はパズルに変わる。

◆自動くす玉

 中に電子思考回路が埋め込まれていて、ここぞというタイミングで割れるくす玉。

 


〇スネ夫の家・リビング


テーブルを囲んでのび太、しずか、ジャイアン、スネ夫、出木杉が座っている。

テーブルの上には、知恵の輪、立体パズル、スクロールパズルが置かれている。

 

スネ夫は、パズルコレクションを手で大きくなぞる。

スネ夫「どう? 僕のパズルコレクション」

 

ジャイアン「面白そうだな」  

ジャイアンは、知恵の輪をつかみ取り、力ずくで解こうとする。

 

スネ夫は、ジャイアンに知恵の輪を壊されないかと、心配そうに指をくわえて見つめる。

 

しずかは、寄せ木細工のからくり箱を手に取って箱を開けようとこころみる。  

しずか「どうやって開けるのかしら?」

 

のび太は、しずかを横で見て、思わず指をウズウズ動かす。

のび太「しずちゃん、かして」

 

のび太は、寄せ木細工の木の箱を静香からうけとると、何も考えずに力まかせに開けようとする。

のび太「んー」

 

スネ夫は、のび太の持つ寄木細工の木の箱をうばう。

スネ夫「力でやっちゃだめ! パズルってのはココを(頭を指さす)使わないと……」

 

スネ夫は、箱の側面を順番通りにスライドさせていき、ムダのない動きで寄木細工の木の箱を開ける。

スネ夫「ほらね」

 

しずか「スネ夫さん、すごいわ」

スネ夫は、寄木細工の箱の中に入っていたアメ玉をしずかの手の平にのせる。

 

ジャイアンは、顔を真っ赤にして知恵の輪を動かして、スネ夫に知恵の輪を押しつける。

ジャイアン「じゃあ、オレのもやってみろよ」

 

スネ夫「一応まだ僕のなんだけど……」

スネ夫、知恵の輪をガチャガチャと動かしていじる。

 

×  ×  ×

 

ジャイアン「どうした。まだ出来ねえのか?」

ジャイアンは、脂汗をたらして知恵の輪をいじるスネ夫の顔をにらみつける。

 

スネ夫「これ、大人でもむずかしいんだよね」

スネ夫は、知恵の輪をテーブルに置いて、顔面蒼白で解き方のヒントの紙を広げる。

 

出木杉「やってみていい?」

 

出木杉は、スネ夫から知恵の輪をうけ取ると、ものの数秒で糸もカンタンにといてしまう。

出木杉「解けちゃった」

 

スネ夫は、口をあんぐりと開けておどろいて指をさす。

スネ夫「信じられない!」

 

しずか「魔法みたい、出木杉さん!」

しずかは、両手を重ねて、自分の事のように喜ぶ。

 

出木杉「ぐうぜんだよ」

出木杉は、自分の頭をなでて照れる。

 

のび太は、そんな出木杉の顔を、つまらなそうに目を細めて見つめる。

 


〇のび太の家・のび太の部屋


のび太は、さっきの出来事をドラえもんの前で身振り手振り表現する。

 

のび太「魔法みたい、出木杉さん!!」

のび太はしずかの声をまねて、両手を合わせて顔の近くに持っていき、眼をパチパチさせる。

 

のび太「ぐうぜんだよ~」

のび太は、サッと向きを反転させ、出木杉の声をまねて、照れながら自分の頭をなでる。

ドラえもんは、マンガを読むのを中断して、そんなのび太の芝居をシラーっと聞いている。

 

のび太は、こぶしを握って腕をふり、ドラえもんにうったえかける。

のび太「くやしい。出木杉をギャフンと言わせたい!」

 

ドラえもん「ひがんでないで、自分でもできるようになればいいじゃない」

ドラえもん、そう言ってマンガのつづきを読みはじめる。

 

のび太、ドラえもんの読んでいるマンガをぶんどる。  

のび太「できるわけないよ。僕がパズル得意に見える?」

 

ドラえもんは、いつも見ているのび太のさえない顔をまじまじと見る。

ドラえもん「……見えない」

 

のび太は、ドラえもんの言葉にグサリと心を傷つけられ、ぶんどったマンガをポトリと落とす。  

のび太「ほらほらほら、ドラえもんだってそう思ってるんだあ~、うわぁ~ん!」

 

のび太は、ヒザをついて頭をふせ、タタミをたたいてむせび泣く。

 

ドラえもんは、そんなのび太の情けないさまを見て、ムッとして立ち上がる。

ドラえもん「だからって、やりもせずに、あきらめるな!」

 

ドラえもんは、四次元ポケットに手を突っ込んで、ひみつ道具を取り出す。

ドラえもん「パズルライト!」

 

ドラえもんは、タタミに落ちたマンガにライトを当てると、マンガがバラバラになって、たった3ピースのパズルに変わる。

 

のび太「何これ?」

 

ドラえもん「この光線に当たった物はパズルになるんだ」

 

のび太は、さっそくマンガのパズルをパチリとはめ込む。

のび太「完成した!」

パズルは完成すると、元のマンガに戻る。 

 

ドラえもん「光を長く当てれば当てるほど、パズルもむずかしくなるんだ」

 

のび太「かして!」

のび太は、パズルライトをねり消しゴムに十秒間当てると、ねり消しゴムは1,000ピース以上のパズルに変わる。

 

ドラえもん「光を当てすぎだよ。ここにあるヒントボタンを押してごらん」

 

のび太が、パズルライトに付いているボタンを押すと、細い紙がニョロニョロと出てくる。

のび太「何々、まずは角から組み立てて、あとは根気です。だって」

 

のび太は、震える手でピンセットを使って、パズルをはめ込もうとするが、うまく合わない。

のび太「うへー、だめだこりゃ……」

 

のび太は、あきらめてピンセットを放り投げてねころぶ。

 

ドラえもん「もったいないなあ」

ドラえもんは、バラバラになったねり消しゴムをこねて一つにする。

 

のび太「ねえ、地球にパズルライトを当てたらどうなるの?」

 

ドラえもん「そんなことしたら、地球がバラバラのパズルになっちゃうよ。やっぱり君にかすのやめよう」

 

のび太「待ってよ、いいこと思いついた!」

のび太は机にライトを置いて、イスに座ってノートの切れはしに何かを書く。

 

のび太「この紙を出木杉に渡してきて」

のび太は、ノートの切れはしを折ってドラえもんに渡す。

 


〇空き地


出木杉としずかが、仲良く話している。

 

ドラえもんは、出木杉の所に行って紙をわたす。

ドラえもん「はい、のび太からの手紙」

 

出木杉は、紙を受けとると、のび太の書いた文章をよむ。

出木杉「かぞくのび犬の、ざい宝を、もとめる者よ、パズルの館へいらっしゃい……」

 

出木杉、のび太の文章を読んで首をかしげる。

出木杉「かぞく? のびいぬ?」

 

しずか、肩をふるわせて笑う。 

しずか「クスクス、海ぞくのび太と書きまちがえたのね」

 

ドラえもん「のび太くんたらもう……」

ドラえもん、顔を赤くして消しゴムで「かぞくのび犬」を消して、「海ぞくのび太」と書きなおす。

 

出木杉「面白そうだね」

しずか「行ってみましょ」

 


〇のび太の家・玄関


ドラえもん「ただいま!」

ドラえもんが、帰ってくると台所からママが呼ぶ声がする。

 

のび太のママ「ドラちゃーん、おやつよ」

ドラえもん「はーい」

 


〇同・台所


ドラえもんが、喜んで台所にかけつけると、テーブルの上にどら焼きがある。

ドラえもん「わーい、ドラ焼き!」

のび太のママ「のび太と半分個してね」

 


〇同・のび太の部屋


ドラえもんは、ドラ焼きをもって、のび太の部屋に入る。

ドラえもん「もうすぐ出木杉くんと静香ちゃん来るよ」

 

のび太は、部屋中の物にパズルライトの光を当てている。

のび太「ありがとう」

 

のび太「あとはこの木の箱にざい宝を入れるだけ、 何入れようかな?」

 

のび太は、ドラえもんの持つドラ焼きに目がとまる。

のび太「そうだ。ドラ焼きを入れよう」

 

ドラえもん「やだよ、今食べる!」

 

のび太「苦労してパズルをといて、しずちゃんと食べた方が、ずーっとおいしいよ」

のび太は、ドラえもんの両肩をつかんで説得する。

 

ドラえもんは、しぶしぶドラ焼きをのび太にわたす。

ドラえもん「必ずパズルをといてよ」

 

のび太「大丈夫、前にも使ったじゃない。ちょ金箱でもなんでも開けちゃう、ど・う・ぐ!」

 

ドラえもん「ああ、万能オープナー開けゴマね……」

 

のび太「あとさ、宝を手にしたとき、感動を盛り上げるものない?」

 

ドラえもん「はいはい」

ドラえもんは、四次元ポケットから自動くす玉を出す。

 

のび太は、自動くす玉を受けとり、イスにのって天井に吊るす。

 

ドラえもん「分かったぞ! 木の箱をものすごくむずかしいパズルに変えて、出木杉君がさじを投げたところで、万能オープナー開けゴマをかけて開けるつもりだな?」

 

のび太「ピンポーン!」

のび太はイスから下り、人差し指を上向けて舌を出す。

 

のび太は、しずかに抱きつかれる自分を想像してデレデレになる。

のび太「のび太さんステキ! デヘヘヘ~」

 

ドラえもん「君みたいなひきょう者にはかさないぞ!」

ドラえもんは、のび太にあいそをつかして、押し入れに入ろうと、ふすまを開けようとする。

 

しかし、押し入れのふすまは、のび太の当てたパズルライトによって、スクロールパズルになっていて開かない。

ドラえもん「ムッ!」

 


〇同・階段


ママ 「のびちゃ~ん、ジュースよ。とりに来て」

ママが、階段の下から猫なで声でのび太を呼ぶ。

 


〇同・のび太の部屋 


のび太は、ママの声を聞いて、体中に鳥肌が立ってふるえ上がる。

ドラえもん「ジュース、とりに行かないの?」

 

のび太「いつもの声とちがう。きっとこの前のテストを見に来る気だ」

のび太、ランドセルの中の〇点の答案をふるえる手で取り出す。

 

ドラえもん「あちゃー、素直にあやまりなよ」

 


〇同・階段


ママ「持って行ってあげるわね~」

ママ、ジュースをお盆にのせて、笑顔でゆっくりと階段を上ってくる。

 


〇同・のび太の部屋


のび太「どこか、安全な場所にかくさなきゃ!」

のび太は、慌てて0点の答案とドラ焼きにパズルライトの光を当てて、パズルに変えて、両方を木の箱に入れる。

 

ドラえもん「あーっ、ドラ焼きまでパズルに変えちゃった!」

 

のび太は、木の箱にもパズルライトの光を当てると、寄せ木細工のからくり箱に変わる。

 

のび太の部屋のドアが開く。

 

ママが、満面の笑みで、のび太の部屋に入ってくる。

ママ「のびちゃんの大好きなオレンジジュースよ」

 

ママは、タタミに正座してのび太にたずねる。

ママ「ところでこの前のテストなんだけど……」

 

のび太「あれー、どこかに置いたんだけど」

のび太は、わざとらしく座布団をめくってのぞきこみ、探すふりをする。

 

ママの顔がくもり、笑顔が消えていく。

ママ「もし、丸が一つもなかったら……」

 

ママのおぼんを持つ手に力が入り、ジュースのグラスがカタカタ音を立てる。

 

ドラえもん、ママの持っているおぼんを受けとってタタミに置く。

 

のび太は、ひしひしとママの怒りを感じて苦し紛れにウソを言う。

のび太「もも、もちろん、あったよ」

 

ママの顔は、一瞬間をおいて笑顔に戻る。

ママ「なら見せてくれるわよね?」

 

のび太「手を洗ってくるね」

のび太は、目にも止まらぬ速さで部屋を出てドアを閉める。

 

ママは、すかさず手を伸ばして、のび太を追う。  

ママ「ちょっと待ちなさい!

 


〇同・のび太の部屋の外


のび太は、部屋を出るとドアの外から、パズルライトの光線を当てる。

 


〇同・のび太の部屋


ママが、ドアのぶをつかんでひねると、ドアのぶごと引っこ抜けて、正方形の穴が開く。

ママ「何これ?」

 

パズルライトの光が当たったドアは、スクロールパズルに変わっている。

ドアは、正方形のパネルに分割され、パネルは勝手に動いて、正方形の穴が目まぐるしく移動していき、ドアは開かなくなっている。 

 

ママは、一番下に移動した正方形の穴に手を突っ込み、のび太の足をつかむ。

ママ「のび太、つかまえたわよ!」

 


〇同・のび太の部屋の外


のび太「うわあ」

のび太は、ママから脱がれようと、よろめいた拍子にパズルライトの光を階段に当ててしまう。

 

のび太「ぎゃー」

立体パズルになった階段は、のび太と一緒に崩れ落ちる。

 


〇同・一階


のび太「あいたた」

一階に落ちたのび太は、腰をうって手でさする。

 


〇同・玄関内


出木杉としずか、玄関のドアを開けて入ってくる。

出木杉・しずか「こんにちは」

 

出木杉としずかは、のび太が倒れているのを見て、靴を脱いであがる。

しずか「のび太さん、大丈夫?」

 

出木杉は、のび太を引っぱって起こす。

出木杉「海ぞくのび太くん、ざい宝探しに来たよ」

 

のび太「やあ、いらっしゃい。ざい宝は二階だよ」

 

出木杉「階段がくずれてる」

一階のろう下には、立体木製パズルが散らばっている。

 

のび太「これパズルなんだ。組み立てれば階段になるよ」

しずか「むずかしそうね」

 

のび太「出木杉ならできるんじゃない?」

 

出木杉「うーん」

出木杉が、腕組みして見上げると、二階にパズルのかけらがある。

 

出木杉「パズルのかけらが、二階にあるから、完成しないよ」

のび太は、出木杉の話を聞いてずっこける。

 

しずか「なら、帰りましょうか?」

出木杉「そうだね」 

 

のび太「ちょっと待って」  

 

のび太が、パズルライトのヒントボタンを押すと、細長い紙がニョロニョロ出て来る。

のび太「このヒントを読んでみて」

 

出木杉は、のび太からヒントの紙を受けとって読む。

出木杉「四角い家具を階段に変えれば、二階への道は開ける」

 

しずかは、ヒントを聞いて首をかしげる。

しずか「四角い家具?」

 


〇同・のび太の部屋


ママは、髪をふり乱して、0点の答案が入った寄せ木細工の箱を力ずくで開けようとする。

ママ「キー! ドラちゃん、この箱開けて!」

 

ドラえもんはため息をついて、四次元ポケットからひみつ道具を出す。

 

ドラえもんは、万能オープナーひらけゴマを箱に向けてふるが、ゴマが出てこない。  

 

ドラえもん「ありゃ? 中のゴマがきれてる」

ママは、ドラえもんの顔をキッとにらみつける。

 

ドラえもん「ちょっと未来デパートにゴマを買ってきます」

ドラえもんは苦笑いをして、のび太の机の引き出しを開けて飛び込む。

 

ママは、ドラえもんの帰りを待たず、窓を開けようとしたがパズル化していて開かない。

 

ママ「まさか、タタミの下にかくしたんじゃ」

ママがタタミをひっくり返すと、ザブトンくらいの大きさの正方形にめくれる。

 

ママ「のび太~!」

ママは、タタミをパタンパタンとたたみながら叫ぶ。

 


〇同・階段下


しずか「のび太さん、呼んでるわよ」

のび太は天井を見上げて、聞こえてくるママの声にふるえあがる。

 

出木杉は、何か思いついて、手をパンと叩いて言う。

出木杉「四角い家具ってタンスのことじゃないかな?」

 

のび太 「きっとタンスをどかすと、かくし通路が現れるんじゃない?」

 


〇同・階の居間


居間に来たのび太と出木杉と静香は、力を合わせてタンスをずらす。

 

のび太「あれ? 何もない」

のび太は、疲れてタンスによりかかる。

すると、引き出しが横にずれる。

 

出木杉「からくりタンスだ!」

出木杉が、うれしそうにタンスのからくりを動かしていくと、タンスは階段に変わる。

 

しずか「出木杉さんてやっぱりすごいわ!」

しずか、両手を合わせて顔の近くに持って行く。

 

のび太は、上着のすそをくわえて引っぱる。

のび太「ぐやじい!」

 

出木杉は、階段を上って天井板を外して中をのぞくと、そこはミラールームになっている。

出木杉「何だこりゃ?」

しずか「ヒントを出して見たら?」

 

のび太、パズルライトのヒントボタンを押してヒントの紙を出す。

のび太「この先キケン、百のチュー、百の鬼だって」

 

しずか「怖いわ……」  

出木杉「僕が先に行くよ」

 

のび太「百のチュー? マズイ」

のび太は、二人がキスする姿を想像する。

 

のび太「ダメダメ!」

のび太は、想像の中の二人がキスをする手前で雲を手で払う。

 

のび太「僕が先に行くよ」

そう言ってのび太は、先頭を進む。

 


〇同・一階と二階のすき間


のび太「百のチュ~、百のチュ~、デへへ~♪」

のび太は、しずかの手を引きながら、だらしなくよだれをたらして進む。

 


〇同・のび太の部屋


未来から戻って来たドラえもんは、机から頭をだす。

ドラえもん「やっと開けゴマの素、買って来た」

 

ドラえもんは、のび太の部屋を見回す。

ドラえもん「あれ、ママどこ?」

 

ドラえもんは、はがされたタタミと、人が通れるくらいの穴を見つける。

 


〇同・一階と二階のすき間


ドラえもんが、穴に頭を突っ込むと、目の前に一匹のネズミがいる。

 

ネズミ「チュー!」

一匹のネズミは、鏡のせいで何百匹にも見える。

 


〇同・のび太の部屋


ドラえもん「ギャ~っ!」 

ドラえもん、穴から頭を抜いて飛び上がる。

 

ドラえもん、押し入れの戸のスクロールパズルをものすごい速さで解いて、押入れのふすまを開く。

 


〇同・押し入れの中


ドラえもん、ふとんにくるまってブルブルふるえる。

ドラえもん「キケンすぎる!」

 


〇同・一階と二階のすき間


のび太は、ミラールームを静香の手を引いて進む。

しずか「今、声がしなかった?」

のび太 「そう? 百のチュ~、百のチュ~」

 

チューの事で頭がいっぱいののび太の行く手に、鬼の形相のママが正座している。

ママは、鏡に反射して、百人も写って見える。

 

のび太「百の鬼だ、ギャ~!」

ママ「鬼とは何です!」

 


〇同・のび太の部屋


のび太は、ママの前で正座をしている。

 

ドラえもんは、万能オープナー開けゴマをふりかけて木の箱を開ける。

 

ドラえもん、ジグソーパズルになったドラ焼きとテストの答案を取り出す。

 

ママは、タタミを手でドンと叩いてのび太に言う。

ママ 「答案を元に戻しなさい!」

 

のび太は、チラチラとママの顔色を見ながら、恐る恐る答案のパズルをはめる。

ママ「これもバツ?」

 

のび太は、点数の部分を残して、パズルをはめ終える。

 

ママ「丸なんて一つもないじゃない」

ママは、正解のない答案を見てこぶしをつよく握る。

 

のび太「一応ここに……」

のび太は、最後に残った〇点の部分のピースをパチリとはめて土下座する。

 

のび太「ごめんなさい。ごめんなさい」

 

天井に吊るした自動くす玉が割れて、紙吹雪が舞い落ち、

『おめでとう、あんたはエライ!』と書かれたたれ幕が下りて来て、

ママの頭にコツンと当たる。

 

ママ「の~び~太~!」

 

ママの怒りが大爆発し、のび太は土下座をしたまま縮こまる。

のび太「ヒィーッ」

 

ドラえもんとしずかと出木杉は、嵐のようなお説教に耐え忍ぶのび太の姿を見てあきれはてる。

 

ドラえもん「ちょうどドラ焼きが一口サイズになってる。先に食べてよう」

ドラえもんは、パズルになったドラ焼きをパクリと食べて、オレンジジュースのストローを吸う。

 

出木杉としずかは、おやつに口をつける気になれず、両手の手の平を上に向けて肩をすくめる。

 

おしまい

〔原作にないひみつ道具〕

なんでも操縦機宇宙船タイプ

 これを取りつけると、どんなものでも宇宙船になって宇宙へ行ける。

 


〇通学路


セミの鳴き声。

学校の帰り道、のび太、出木杉、静香、スネ夫、ジャイアンが夏休みの計画の話をしながら歩いている。

 

しずか「出木杉さんは夏休みどうするの?」

 

出木杉「ぼくは、望遠鏡で天体観測するんだ」

 

スネ夫「うちは、家族で一週間ほどハワイへ、しゅっちゅう行ってるから、近所みたいなもんだよ」

 

ジャイアン「おれんちは、富士山に登るんだ」

 

しずか「私の家は、箱根の温泉に行く予定よ」

 

のび太は、顔を赤くして小声で言う。

のび太「うちも、一週間沖縄に行くんだ」

 

しずかは、優しくのび太の肩に手をのせる。

しずか「のび太さん、気を落とさないで。おいしいお土産買ってくるわ」

 

スネ夫は、笑いをこらえ口を押えて言う。

スネ夫「家にいるのが一番だよ。本当のこと言うと、旅行なんてお金払って疲れに行くようなもんさ」

 

ジャイアン「家でゴロゴロするのも悪くない。オレたちの分もゴロゴロしてくれ」

 

出木杉「良かったら、ぼくと一緒に天体観測するかい? 月の海なら初心者でも見られるよ」

 

のび太「だ・か・ら! 家も今年は一週間家族旅行に行くの!」

 

しずか「えっ?」

ジャイアン「何だって?」

スネ夫「のび太んちが旅行? 一週間も? 信じられない!」

 

のび太「僕もまだ信じられない」

 

ジャイアン「良かったじゃねえか。たっぷり楽しんで来いよ」

のび太「うん」

ジャイアンと硬い握手するのび太、その目もとから涙がひとしずくあふれ出る。

 


〇のび太の家・玄関


  のび太が家に帰ると、ママとドラえもんが、旅行の準備でドタバタと駆け回っている。

 

のび太は、目の前の光景に目頭がジーンと熱くなる。

のび太「ああ、夢じゃないかしら」

のび太は、自分のほっぺたを強くつねる。

 

ドラえもん「なに突っ立ってるの! 旅行は明日だよ!」

ドラえもんは、アロハシャツに、ハイビスカスの首飾り、顔にシュノーケル、足に足ひれ、腹にうきわをつけている。

 


〇同・居間


ママは、タンスから五年前の水着を引っぱりだす。

ママ「この水着、まだ入るかしら」

 

ドラえもん「麦わら帽子が見つからないよ」

のび太「探すの手伝う!」

のび太は、押し入れに頭を突っ込む。

 


〇同・玄関


玄関の電話が鳴って、ママが受話器をとる。

ママ「あら、パパ?」

 


〇のび助のはたらく会社


パパ、 受話器ごしにママと話す。

パパ「実は、旅行の事なんだが……」

 


〇同・玄関


ママ「休みが一日しか取れなくなった? どうにかならないの?」

ママは、下を向いて受話器を強くにぎる。

 

ママ「……そう、分かったわ」

ママは、受話器を力なくそっと置く。

 

ママが横を見ると、すぐ側でのび太が麦わら帽子を持って、ぼうぜんと見つめている。  

のび太「……」

 


〇同・玄関(夜)


パパが、会社から帰ってくる。

パパ「ただいま」

 

パパの耳に玄関からのび太とママの声が聞こえてくる。

 

ママ「たった一日じゃ、旅行には行けないでしょ」

のび太「ヤダヤダ、絶対旅行に行くんだ」

タタミをジタバタ暴れる音とのび太の泣きわめく声がする。

 


〇同・居間(夜)


パパが居間に入ると、のび太は、だまって体育座りをしてテレビを見ている。

 

ちょうど、テレビでは、天気予報を放送している。

天気予報士「日本全国、明日から一週間晴れが続くでしょう」

 

パパ、のび太の頭をやさしくなでる。

パパ「ごめんな、のび太。明日は市民プールに行こう!」

ママ「そうね、それがいいわ」

 

テレビでプールの大混雑が映される。

アナウンサー「見て下さい! 人・人・人。みんなこぞってプールに押しよせています!」

 

パパ、ママ、ドラえもん、あまりにタイミングの悪い映像を見てウッとなる。

 

パパ「節電!」

パパ、慌ててテレビのスイッチを切る。

 

のび太「……きっと混んでる。外に出ても疲れるだけ。僕が行かなければ、プールが一人分すいていいよ」

のび太、気力をなくしてフラーッと二階へ上がり、パパ、ママ、ドラえもん、重苦しい空気にため息をつく。

 


〇同・一階階段(夜)


ドラえもんは、心配そうに階段を見上げる。

 


〇同・のび太の部屋(夜)


ドラえもん、のび太の部屋に入ると、のび太が見当たらない。

ドラえもん「あれ?」

 

ドラえもんが押し入れを開けると、のび太は麦わら帽子を持って、汗をダラダラたらしながら体育座りをしている。

ドラえもん「暑くないの?」

 

のび太「暑いよ!」

 

のび太は、あまりの暑さに押入から出てくる。

のび太「このままどこへも行けなかったら、夏休みじゃなくて、夏勉強じゃないかー!」

 

ドラえもん「君はろくに勉……」

のび太「べん?」

のび太は、ドラえもんの言いかけた言葉が分からず、首をかしげる。

 

ドラえもん「分かったよ。ハワイでも、どこでも好きなところへ行こう」

ドラえもんは、慌ててポケットに手を突っ込む。

 

のび太「だったら、月へ行きたい!」

ドラえもん「月へ?」

 

のび太「月の海で泳ぐの!」

ドラえもんは、のび太の言葉を聞いてズッコケる。

 

ドラえもん「月の海っていうのは、黒っぽい岩でおおわれた平原なの! 昔の人が望遠鏡で見たとき、海に見えたからそう呼んでいるだけで、月には海なんてないんだよ!」

 

のび太「な~んだ」

のび太は、肩を落としてがっかりする。

 

ドラえもんは腕を組んで、顔に手を当てて考え込む。

ドラえもん「いや、待てよ。水がなくても、泳ぐ方法はあるぞ」

 

のび太「本当に?」

 

ドラえもんは、のび太に耳打ちする。

ドラえもん「ゴニョゴニョ……」

 


〇同・食卓(夜)


一階に下りて来たのび太は、夕食を食べているパパの肩をもむ。

のび太「明日には、海に着くからね」

 

パパは、のび太の行動に驚いて食べ物がのどにつっかえて、胸をたたく。

パパ「ああ」

 

ママ「期待しないで楽しみにしてるわ」

ママは、パパにコップに入った水を渡す。

 


〇のび太の家の外(夜)


月明かりにてらされるのび太の家。

 


〇同・のび太の部屋(夜)


ドラえもん「のび太、起きて! そろそろ始めるよ!」

ドラえもんは、気持ちよさそうに寝ているのび太を起こす。

 

のび太が、目覚まし時計を見ると、針は十二時を指している。

 

ドラえもんは、ポケットからひみつ道具をとり出す。

ドラえもん「なんでも操縦機宇宙船タイプ!」

 

ドラえもん「これをつけた物は、宇宙船に変わる」

 

のび太「すごい!」

 

ドラえもんは、なんでも操縦機宇宙船タイプのハンドルを畳に差し込んで座る。

 

ドラえもん「安全そうち作動」

ドラえもんが、『Sボタン』を押すと、家の壁や窓が、見た目は変わらないが、宇宙船なみの気密性と強さになり、 表示ランプが赤から黄色、緑色に変わる。

 

のび太「どこでもドアを使えば、一瞬で行けるんじゃないの?」

 

ドラえもん「それじゃ、気分がでないでしょ」

 

のび太「なるほど」

 

ドラえもん「準備完了。3・2・1、反重力そうち作動!」

ドラえもんは、なんでも操縦機の『アンチGボタン』を押す。 

 

のび太の家が少しゆれて、のび太の体が押し付けられるような感じがする。

のび太「エレベーターが上がるときみたいな感じがする」

 

のび太が窓をのぞくと、家がゆっくりと上昇していくのが見える。

のび太「すごい、家が空を飛んでる!」

 

ドラえもん「この家は今、宇宙船になって月に向かっているんだ」

 

のび太「あとどれくらいで着くの?」

 

ドラえもん「この調子で行けばあと八時間くらいかな?」

 


〇同・のび太の家の外(夜)


のび太の家の屋根の上で寝ていたノラ猫が驚いて飛びおりる。

 


〇出木杉の家・出木杉の部屋ベランダ(夜)


出木杉が、望遠鏡で天体観測しているとのび太の家が空高くへ飛んでいくのを見つけ、目を丸くしておどろく。

 

出木杉「何だあれは?」

 


〇同・のび太の部屋(夜)


のび太「そういえば、宇宙って空気がないんじゃなかったっけ?」

 

ドラえもん「そうだった!」

ドラえもんは、慌ててポケットからテキオー灯をとり出して、のび太とドラえもんの体に光を当てる。

 

ドラえもん「パパとママにも当ててきて!」

 


〇同・のび助と玉子の部屋(夜)


のび太は、一階に駆けおりて、寝ているパパとママにテキオー灯の光を当てる。

のび太「ふぅー、あぶなかった……」

 


〇同・のび太の部屋(夜)


のび太「気を付けてよね、ドラえもん」

自分の部屋に戻ったのび太は、あくびをして目をこすり、ふとんの中に入る。

 

ドラえもん「ごめんごめん」

 

のび太「グゥ……」

 

ドラえもんは、のび太の寝ている横で、なんでも操縦機のハンドルを握る。

 

×   ×   ×

 

のび太の家は、順調に上昇し、 のび太とドラえもんの体がフワリと宙を浮き上がる。

ドラえもん「無重力状態だ」

 

のび太の鼻ちょうちんが鼻からはなれ、フワフワと宙を浮く。

 


〇同・のび助と玉子の部屋(夜)


パパとママが、寝ながら部屋の中で宇宙遊泳している。

ママ、顔パックしている。

 


〇同・のび太の部屋(夜)


ドラえもん「人工重力作動!」

ドラえもんが、『+Gボタン』を押すと、宙を浮いていた物が、ゆっくりと下に降りる。

 

のび太の鼻ちょうちんが、タタミに落ちてパチンとはじける。

 

×   ×   ×

 

ドラえもん「そろそろ着陸だ」

のび太の家が、月にゆっくりと着陸する。

 

ドラえもん「バンザ~イ! のび太、着いたよ。おきて」

 

のび太はカーテンを開いて、窓から外の景色をのぞきこむ。

のび太「わ~い、月だ!」

 

窓ごしに、灰色の月の大地と真っ暗な空に浮かぶ地球が見える。

 

のび太とドラえもんは、1/6の重力の中、階段を下りる。

 

のび太「ねえ、急にぼくの家がなくなったら、近所の人が驚くんじゃない?」

ドラえもん「実景プラネタリウムでのび太くんの家を映しているから、気付かれないよ」

のび太「ふ~ん」

 


〇地球・のび太の家の前(朝)


のび太の家の敷地に立体映像が映されている。

のび太の家の前を自転車に乗った人が通り過ぎて行く。

 


〇月・のび太の家の外


のび太とドラえもんは、荒涼とした月の大地にぽつりと一軒建つのび太の家から出てくる。

 

ドラえもんは、ポケットからひみつ道具をとり出す。

ドラえもん「架空水面シミュレーターポンプと架空水体感メガネ!」

 

のび太は、架空水体感メガネをかけて、月面にたまっていく架空水をながめる。

 


〇月・のび太の家・のび助と玉子の部屋


のび太は、寝ているパパとママをゆすって起こす。

のび太「海に着いたよ。パパ、ママ!」

 

パパ「うーん。まだ夜じゃないか」

のび太は、メガネをさがすママに架空水体感メガネを渡す。

 

のび太「はい、このメガネをかけて」

のび太は、パパとママに架空水体感メガネをかけてもらう。

 


〇月・のび太家・玄関外


家の外は、架空水の海水がうちよせる月の砂浜が広がっている。

 

ママ「海だわ!」

パパ「ここはどこだい?」

 

ドラえもん「静かの海だよ」

パパ「そんな名前の海あったかなあ?」

 

ママ「夢見てるのかしら、何だか体が軽いわ」

ママは、自分の体が軽くなった事に飛び上がってよろこぶ。

 

のび太「早く泳ごうよ」

 

ママ「そうね。水着、水着」

ママは、リュックにしまった水着を取出す。

 

パパ「静かの海? うーん」

パパは、どこかで聞いたことのある名前の海に大きく首をかしげる。

 

のび太「やっぱりしずかちゃんもつれて来たかったな……

ドラえもん「言うと思った」

 


〇地球・のび太の家の前(朝)


その頃、地球ののび太の家に配達員が、小包みを持ってやって来る。

配達員「野比さ~ん!」

 

配達員が、玄関のドアをさわろうとすると、手がドアを突き抜ける。

配達員「あれ、さわれないぞ!」

 


〇月・のび太の家・のび太の部屋


なんでも操縦機のディスプレイに配達員の姿が映って、スピーカーから配達員の声が聞こえてくる。

配達員「カゼでも引いたかな?」

 


〇月・のび太の家・玄関外


ママ「誰か来たわ」

 

ドラえもん「じゃあ、戻ろう」

のび太「戻るのに一晩かかるんでしょ?」

 

パパ、ママ、のび太、ドラえもん、家の中に入る。

ドラえもん「大丈夫。一度行った場所は、一瞬で戻れるんだ」

 


〇月・のび太の家・のび太の部屋


ドラえもんが、なんでも操縦機宇宙船タイプの地球ボタンを押すと、家が地球に戻る。

 


〇地球・のび太の家の玄関前(朝)


パパ「外が明るくなったぞ」

 

ママは、家の玄関から外に出る。

ママ「ハイ、何でしょう」

 

配達員は、出てきたママを見て驚ろく。

配達員「今日は帰って寝よう……」

配達員は、ママに小包みを渡すと、手で頭を押さえて帰って行く。

 

ママは、空を仰ぎ見て言う。

ママ「いい天気ね」

ママは、洗濯を始めてしまい、パパも洗濯を干す。

 

のび太「早く行こうよ!」

のび太は、待ち切れずにウズウズして足踏みをする。

 

ママ「海は逃げたりしないわよ」

 

のび太「しずちゃん呼んでくる」

のび太は、玄関でくつをはいて、つま先を地面にトントンして、全速力で静香の家にかけて行く。

 


〇地球・静香の家の前(朝)


しずか「これから市民プールに行くの」

 

のび太「来て、しずちゃんの海があるんだ」

しずか「わたしの海?!」

のび太は、しずかの手をつかんでグイッと引っぱる。

 


〇地球・のび太の家・のび太の部屋(朝)


のび太「ちょっと目をつぶっててね」

のび太は、静香にテキオー灯の光を当てる。

 

ドラえもんが、なんでも操縦機宇宙船タイプの月ボタンを押すと、家は月に瞬間移動する。

 


〇月・のび太の家・居間


しずか、パパ、ママは、水着に着替える。

のび太も水着に着替えて、架空水に足を付けようとする。

 

パパ「ちゃんと、準備体操しなさい」

みんなで、縁側にならんで準備体操をする。

 

体操を終えて架空水の海に入ろうとすると、今度はママが言う。

ママ「そう言えば、夏休みの宿題やったの?」

 

のび太「やってない……」

 

×   ×   ×

 

のび太は、水着を着たまま、居間の机で、静香、ママ、パパ、ドラえもんに見られながら宿題をやることになる。

 

ビーチボールをふくらますドラえもん。

風鈴、すだれのさがる縁側のすぐ先には、架空水の打ち寄せる月の砂浜が広がっている。

 

のび太「今日の分、やっと終わった……」

のび太は、鉛筆を手放し机にへたり込む。

 


〇月・静かの海


のび太は、浮き輪をつけて縁側からジャブンと飛び込む。

 

しずか「ここが静かの海ね」

しずかも海に入り、空に浮かぶ地球をながめながら泳ぐ。

 

のび太は、浮き輪をつけて泳ぎまわり、

ドラえもんは、シュノーケルと足ひれをつけて泳ぐ。

 

ママ「海水浴なんて久しぶりだわ」

ママは、カエル泳ぎで静かの海を泳ぐ。

 

パパ「のび太、パパが泳ぎを教えてやろう」

パパが、のび太の手を引っぱると、うきわが抜けて、のび太は架空水でおぼれる。

 

のび太「ゴボゴボ」

ドラえもんは、頭にタケコプターをつけて、のび太のパンツをつかん引き上げると、パンツが脱げ落ちる。

 

しずか「キャー」

しずかは、顔を赤らめて目をおおう。

 

ドラえもんは、のび太の腹を押して、口から架空水を噴水のように出す。

結局のび太は、架空水体感メガネを取って、月の砂で砂遊びをする。

 

×   ×   ×

 

パパは、静かの海につきささったアメリカ国旗にゴルフのパターの練習をする。

 

みんなで、地球を背にアメリカ国旗前でタイマー写真撮影する。

 

ドラえもん「ハイ、チーズ!」

ドラえもんは、こけて月面にドラえもんの型ができる。

 


〇月・月のクレーター


のび太たちは、リュックを背負って静かの海の近くのクレーターをのぼる。

 

のび太「山のぼりがこんな楽しいなんて」

いつもならへばってしまうのび太も、重力が1/6なので、ピョンピョン飛びながら楽々のぼれる。

 

みんなでクレーターの一番高い所で写真をとる。

 


〇月・のび太の家・台所

 

ママ「スイカ、切れたわよー」

 


〇月・のび太の家・縁側

 

のび太、ドラえもん、静香は、自宅の縁側で足を架空水にひたし、地球と架空水の水面に映った地球を見ながらスイカを食べる。

 

パパ「そろそろ帰ろうか」

パパは、居間の机の上でスイカを食べながらのび太に言う。

 

のび太「うん」

のび太は、すなおに笑ってうなずく。

 

ドラえもんは、操縦ハンドルの地球ボタンを押して、地球に瞬間移動する。

 


〇地球・のび太の家・玄関外(夕方)


しずか「今日は楽しかったわ、バイバーイ」

しずか」は、手をふって自分の家に帰って行く。

 


〇地球・のび太の家・居間(夕方)


ママ「ルンルン」

ママは、泳ぐしぐさをしながら、洗濯をたたむ。

 

パパ「疲れたねえ」

そう言いながらパパは、寝っころがってテレビを見ている。

 

ドラえもん「しばらくは現実に戻るのに時間がかかりそう」

ドラえもんとのび太は、そんな二人を廊下から見て笑う。

 

おしまい

[原作にないひみつ道具]

◆マサユメ帽

見たい夢を紙に書いて、帽子の中に入れて寝ると、正夢になる。

◆ねんねん太鼓

これを使うと、特殊な音波が出て、聞いた人は、

たちどころに深い眠りについてしまう。

 


○のび太の家・のび太の部屋(夢の中)


のび太、机に両ヒジをついてぼんやりと空をながめている。

のび太「あの雲、おいしそうだなあ……」

 

浮かんでいるわた雲が、何故かのび太の方にどんどん近づいてくる。

のび太、窓を開けると、わた雲に手を伸ばしてむんずとつかみ、口を大きく開けてわた雲をパクリとくわえる。

 

わた雲「イタタ!」

すると、なぜか雲から叫び声がする。

 

のび太「あれ? 雲がしゃべったぞ」

雲から短い手が伸びて、のび太の頭をたたく。

 


○のび太の家・のび太の部屋(現実)


ドラえもん「のび太、起きろ!」

ドラえもん、机で寝ているのび太の頭をたたく。

 

ドラえもん「ふー、いたかった」

ドラえもん、寝ぼけたのび太にカジられ、歯形のついた手に息を吹きかける。

 

のび太「なーんだ夢か」

のび太、まぶたをこすっておきると、机の上の教科書が、タタミに落ちる。

のび太は、算数の宿題をしている最中で眠りこけていた。

 

のび太「あの雲おいしそうだったなあ。どんな味だったろう」

のび太、ノートに「わた雲をケーキにつけて食べたい」と書く。

 

ドラえもん「あのね、雲っていうのは、水蒸気のかたまりなの。食べたって、おなかはふくれないし、何の味もしないんだよ」

 

ドラえもん「空想ばかりしてないで、宿題の続きしたら?」

ドラえもん、タタミに落ちた教科書をひろって机に置く。

 

のび太「ドラえもんは、つまらない奴だな。ドラえもんが起こさなければ、今頃、あの雲をたっぷりつけたホットケーキを食べてたのに」

のび太、勉強机に顔をふせて、ちっとも宿題をやろうとしない。

ドラえもん、そんなのび太を見て、ため息をつく。

 

ドラえもん「しょうがないなあ」

ドラえもんは、四次元ポケットからひみつ道具をとり出した。

 

ドラえもん「マサユメ帽!」

 

のび太、ふせっていた顔を上げる。

のび太「何それ?」

 

ドラえもん「げんきんなヤツ」

ドラえもん、のび太の頭にマサユメ帽をカポッとかぶせる。

 

ドラえもん「見たい夢を紙に書いて、このヘルメットに入れて眠ると正夢になる」

ドラえもん、のび太の見たい夢を書いたページをやぶく。

 

ドラえもん「この紙をさしこみ口に入れる」

ドラえもん、ヘルメットの差し込み口にノートの切れ端を入れる。

 

ドラえもん「次にねる」

 

のび太、タタミの上に横になって寝る。

のび太「こう? グゥ……」

 

マサユメ帽についているZの文字のランプが三つ点灯する。

 


○のび太の家・玄関


SE:玄関の電話が鳴る音。

ママ「のび太、しずちゃんから電話よー」

ママ、のび太を呼ぶ。

 


○のび太の家・のび太の部屋


のび太「しずちゃん?」

のび太、目を覚ましてしまう。

 

マサユメ帽についているZzzの文字のランプが消える。

ドラえもん「あーあ、起きちゃった」

 


○のび太の家・玄関


のび太、一階に下りてママから受話器を受けとる。

しずか「ホットケーキを作ったの。よかったら来る?」

のび太「もちろん、行く行く」

 


○静香の家・静香の部屋


のび太とドラえもん、静香の家に行く。

十段重ねのホットケーキが置いてある。

 

のび太「ワーイ!」

のび太、バンザイをして喜ぶ。

 

しずか「そのヘルメット何?」

静香、のび太のかぶるマサユメ帽を指さす。

 

のび太「これに見たい夢を書いた紙を入れて寝ると正夢になるんだ」

ドラえもん「しずちゃんもやってみる?」

 

しずか「面白そう」

静香、メモ帳に見たい夢を書く。

 

のび太「なんて書いたの?」

 

静香、モジモジしながら恥ずかしそうに言う。

しずか「ぬいぐるみとお城にすむ夢……」

 

のび太「いいねえ、しずちゃんがお姫様で、僕が眠れる森の王子。お姫様のキスで目覚めるの」

のび太、舌を出して調子に乗る。

 

しずか「それはイヤ!!!」

静香、手を前に出して顔をプイと横に背ける。

 

ドラえもん「とりあえす、やってみよう」

ドラえもん、マサユメ帽に静香の書いたメモ帳を差し込む。

 

しずか「すぐ寝られるの?」

 

のび太「それはまかせて!」

のび太、胸をドンとたたく。

ドラえもん「そんなの自慢にならないよ」

 

のび太、クッションを枕にして、横になる。

のび太「ぐぅ……」

のび太、瞬く間に寝てしまう。

 

マサユメ帽についているZzzの文字のランプが3つとも点灯する。

 

ドラえもん、ポケットからひみつ道具をとりだす。

ドラえもん「雲つりざお!」

 

ドラえもん、窓を開けて、雲つりざおの糸を投げると、糸はわた雲を大きくこえて、雲のまわりをぐるぐる回って巻きつく。

 

ドラえもん、リールを巻いてわた雲を引き寄せる。

 


○空き地


スネ夫とジャイアン、空き地の土管に座って話している。

ジャイアン「ヒマだなあー」

スネ夫「そーだねえ、ジャイアン」

 

スネ夫が、ふと顔をあげると、空に浮かぶ雲が地上に下りて来るのが見える。

スネ夫「ジャイアン見て!」

 

スネ夫、急速に移動する雲を指さす。

スネ夫「あの雲、どんどんこっちに下りて来るよ」

 

ジャイアン「何だありゃ?」

ジャイアンとスネ夫、走って雲を追いかける。

 

ドラえもん、静香の部屋の窓から顔をだして、雲を引き寄せている。

スネ夫「やっぱり、ドラえもんのしわざだ」

 

ジャイアン「またオレ達をのけ者にしやがって!」

 


○静香の家・静香の部屋


ドラえもん、わた雲を部屋の中に引き入れる。

 

静香、わた雲をお玉ですくい取ってボールに入れて、泡だて器でまぜ、雲のクリームをホットケーキにのせる。

 


○静香の家・玄関


ジャイアンとスネ夫、静香の家に来る。

ジャイアン・スネ夫「こんにちはー!」  

しずかのママ「いらっしゃい」

 


○同・静香の部屋


ジャイアン、スネ夫、静香の部屋に入ってくる。

ジャイアン「うまそー」

 

ドラえもん、しずか、スネ夫、ドラえもん、寝ているのび太の横で、雲のクリームがたっぷりついたホットケーキに食べる。

 

ジャイアン「ンマーイ!」

ドラえもん「舌がとろけちゃう」

しずか「フワフワでおいしい。こんな食べ物、生まれてはじめてよ」

スネ夫「この味は生クリーム? いやマシュマロ? 綿あめとも違うぞ」

 

ジャイアン、空に浮かんだ雲をながめて、舌なめずりする。

ジャイアン「こうしてみると、うまそうな雲ばかりだな」

 

ジャイアンとスネ夫、雲つりざおを投げて、超巨大な入道雲を釣ろうとする。

 

のび太、眠りながら雲のクリームの入ったボールに手を伸ばす。

のび太「うーん、くもたべたいー」

 

しずか「のび太さんにも食べさせてあげないと、可哀そうよ」

 

ドラえもん「でも、のび太を起こすと、正夢が終わって雲が水蒸気に戻っちゃうよ」

しずか「どうしたらいいのかしら」

 

ジャイアン、いじわるしてボールを取り上げる。

ジャイアン「かわりに、オレが食ってやる!」

 

ジャイアン、残りのクリームものび太のホットケーキにつけて平らげてしまう。

 

スネ夫「ジャイアン、糸引いてるよ」

 

ジャイアン「でかした、大物だぞ!」

ジャイアン、スネ夫の背中をつかんで一緒にぴっぱる。

 

家周辺がうす暗くなるほどの大きさで、道を歩いている人が空を見上げる。

ドラえもん「ちょっと、大きすぎるんじゃない?」

 

静香の部屋のウサギのぬいぐるみの耳がピクリと動く。

 

ドラえもん、ジャイアンの背中をつかんで引っぱるのを手伝う。

静香も、ドラえもんの背中をつかむ。

 

みんなで力を合わせて、巨大な入道雲を引っ張る。

ドラえもん・ジャイアンスネ夫・しずか「うんとこしょ、どっこいしょ」

 

雲が風に流されて、引っぱり返され、みんな、風の力に耐えきれなくなって、窓の外に飛ばされる。

スネ夫「ママー」

 

のび太「くもー、むにゃむにゃ」

のび太、寝ぼけながらドラえもんの足をつかむ。

 

急にぬいぐるみ達が動き出して、のび太の足をつかむ。

 

みんな、そのまま雲の上まで飛ばされてしまう。

 


○雲の上


みんな、フカフカの雲の上に落ちる。

 

のび太、雲の上にのった衝撃で、マサユメ帽についているZzzの文字のランプが二つ消え、残り一つになる。

 

のび太「んー、ここどこ?」

のび太、寝ぼけまなこで半分目を開ける。

 

スネ夫の顔が青ざめて、恐れおののく。

スネ夫「のび太が起きた」

 

ジャイアン「雲がとけてるぞ!」

雲が溶けはじめて足が雲に沈んでいく。

 

しずか「はやく寝かせて」

 

スネ夫としずか、慌てて子守唄を歌う。

スネ夫・しずか「ねーむれー、ねーむれー」

 

マサユメ帽についているZzzの文字のランプが残り2つになる。

 

ジャイアンも、子守唄を歌い始める。

ジャイアン「ねーんねーん、ころーりーよー」

 

のび太「うぎゃー」

のび太、ジャイアンのひどい歌声によって、マサユメ帽のZzzの文字のランプが全部消え、目が覚めてしまう。

 

雲が溶けるスピードがよけいに速まり、ジャイアン、体が胸の所までズッポリと雲に埋まり、自分の口をふさぐ。

 

ドラえもん、ポケットからサッとひみつ道具をとり出す。

ドラえもん「ねんねん太鼓! これを使うと、特殊な音波が出て、聞いた人は……」

 

のび太・スネ夫・しずか「いいから早く!」

 

ドラえもん、ねんねん太鼓をクルクル回す。

効果音:ねんねん太鼓の音「ネンネン♪」

 

のび太、パタリと倒れて、Zzzの文字のランプが3つ点灯する。

 

のび太「ぐぅ……」

 

みんな、のび太が再び眠りについたのを見て、体の力を抜いてため息をつく。

のび太以外「ふぅー」

 

ドラえもん「あれ……」

スネ夫「僕たちも……」

しずか「眠くなって……」

ジャイア「きたぞ。ぐぅ……」

みんなも、バッタリと倒れて雲の上で眠ってしまう。

 

×   ×   ×

 

ウサギのぬいぐるみが、静香の肩をゆする。

ウサギのぬいぐるみ「しずちゃん、しずちゃん」

 

静香、ひとみを開くと、ゴリラのぬいぐるみが静香をのぞきこんでいる。

しずか「キャッ!」

 

静香は、ゴリラ、クマ、コアラ、カンガルー、ウサギ、ひつじ、ペンギン、小ペンギンたちのぬいぐるみにかこまれている。

 

ゴリラのぬいぐるみ、雲に埋まった静香を優しく引っぱり上げる。

しずか「ありがとう。ゴリラさん」

 

ゴリラのぬいぐるみ「どういたしまして」

ゴリラ、顔を赤らめて恥ずかしがる。

 

しずか「夢みたい」

静香、ぬいぐるみたちに抱きつく。

 

ペンギンのぬいぐるみ「夢じゃないよ」

ぬいぐるみ達のはるか後方に雲の上のお城が見える。

 

ペンギン「ねえ、行こうよ」

ペンギンのぬいぐるみ、静香の手をつかんで引っ張る。

 

しずか「みんなをおいて行けないわ」

静香は、ジャイアン、スネ夫、ドラえもんをゆすって起こそうとするが、起きない。

 

子ペンギンたち、のび太を持ち上げて連れて行ってしまう。

しずか「まって!」

 

静香、子ペンギンを追いかける。

 

ゴリラ、雲に埋まったジャイアンとドラえもんとスネ夫を引っぱり出す。

 

ゴリラとクマ、ジャイアンの手と足を持ってを運ぶ。

 

カンガルー、スネ夫をお姫様抱っこしてピョンピョン飛んで運ぶ。

 

コアラ、ドラえもんをコロコロと転がして運ぶ。

 


○雲の上・城の中


ペンギン、静香の手を引いて大きな階段を上る。

 


○同・衣裳部屋


静香がとびらを開くと、そこは色とりどりのドレスが並ぶ衣裳部屋だった。

しずか「すてき」

 

ペンギン「しずか姫、好きなドレスをえらんで」

 

子ペンギン、静香のスカートのすそを引っ張って、親ペンギンの頭の上にのって背伸びをする。

静香、しゃがみこんで耳に手を当て、子ペンギンの話を聞く。

 

子ペンギン「おねがい、しずちゃんの作ったケーキが食べたいの」  

 

しずか「いいわよ。ただし、手伝ってね」

静香、たくさんのドレスの中からエプロンドレスを手に取る。

 

子ペンギン「ワーイ!」

子ペンギン、親ペンギンからおりて、ピョンピョン飛んで喜ぶ。

 


○同・キッチン


静香、キッチンで、生地をこねて、ケーキを作る。

 

子ペンギン、雲のクリームを泡だて器でかき回し、スプーンで味見する。

子ペンギン「おいしい!」

 

子ペンギン、口に手を当てて、ピョンピョン飛ぶ。

 


○雲の上・城の前


コアラ、ドラえもんを転がして起こす。

コアラ「ねえ、起きて」

 

ドラえもん、目が回って起きる。

ドラえもん「景色がグルグル回る」

 

ドラえもん、起きて目の前にそびえたつ城を見る。

ドラえもん「すごいお城だ。起きて!」

 

ドラえもん、ジャイアンとスネ夫を起こす。

 

ジャイアン「なんだよ、かーちゃん」

スネ夫「もう朝なの?」

ジャイアンとスネ夫、目を覚ます。

 

ドラえもん、まわりを見回す。

ドラえもん「あれ? しずちゃんとのび太がいないぞ」

 

コアラのぬいぐるみ、城の中に入って行く。

 

ドラえもん「追いかけよう」

ドラえもん、ジャイアン、スネ夫、ぬいぐるみ達を追う。

 

お城の前にゾウのぬいぐるみの門番が立っている。

ゾウのぬいぐるみ「通っていいゾウ」

 


○雲・城の中


扉を開いて城の中に入ると、中央に大きな階段がある。

 

ジャイアン「スゲー」

ジャイアン、城内を見回して思わず声を上げる。

 

スネ夫、クンクンと匂いをかぐ。

スネ夫「おかしを焼くにおいがするよ」

 

ドラえもん、スネ夫、ジャイアン、匂いをたどりながら階段を上る。

 


○雲・城・大広間


扉を開けると、エプロンドレスを着た静香が、ぬいぐるみたちとテーブルに雲のケーキを並べている。

 

ぬいぐるみ達が、ドラえもん達に気付いて出迎えた。

ぬいぐるみたち「ようこそ、雲のお城へ」

 

しずか「よかった。ちょうど焼けたところよ」

 

のび太、ひつじのぬいぐるみを枕にして、イスにすわって寝ている。

 

スネ夫「おいしそうなケーキ」

スネ夫、手の平をこすり合わせながら席に着く。

 

みんな席についたところで、クマが席を立っていう。

クマのぬいぐるみ「しずちゃん、いつも大切にしてくれて、ありがとう」

 

静香、瞳をうるませて席を立つ。

 

しずか「私からもお礼よ」

静香、ヴァイオリンを手に持つ。

 

スネ夫「待って、しずちゃん!」

 

効果音:ヴァイオリンの音「ギギー!」

 

みんな、静香のかなでるヴァイオリンのあまりに不快な音色に、耳をふさぐ。

しずか以外「ぎゃー」

 

のび太「ひいー」

のび太のかぶるマサユメ帽のZzzの文字のランプが2つ消え、残り1つになる。

 

スネ夫、慌てて寝ているのび太の両耳を2匹の子ペンギンでふさぐ。

 

のび太、手をふるわせながら伸ばし、ひつじのぬいぐるみをつかんで抱きかかえる。

ひつじ、冷や汗をかきながらじっとする。

 

マサユメ帽のZzzの文字のランプが全て消えると同時に、のび太の目がパッチリと開く。

 

ドラえもん「逃げよう!」

ドラえもん、タケコプターをとり出してみんなに渡し、ぬいぐるみを全部四次元ポケットにしまう。

 

のび太「雲のケーキ!」

 

スネ夫「あきらめろ!」

スネ夫、のび太の手を引っぱってタケコプターで逃げる。

 


○同・城の外


お城が雲に沈んで消えて、みんなは雲から脱出する。

 

のび太「雲、食べたい!」

のび太、名残おしそうに雲に手を伸ばし、指についたくもを一口だけ食べる。

 

のび太「ンマーイ!」

 


○静香の家・静香の部屋


みんな、静香の家に戻ってへたりこむ。

スネ夫「危なかった……」

 

のび太、目がトローンとしている。

のび太「今まで食べたことのない素晴らしい味だった。そういえば、ぼくの分のホットケーキは?」

 

ギクリとするジャイアンとスネ夫。

ジャイアン、スネ夫、汗をかいて口の周りについたホットケーキの食べかすをなめる。

 

ジャイアン「おい、ドラえもん。これからは気をつけろよ!」

スネ夫「行こう、ジャイアン」

ジャイアン、スネ夫、そそくさと静香の部屋を出て行く。

 

のび太、ジャイアンがのび太の分のホットケーキを食べたことに気付かない。

 

のび太「ねえ、ドラえもん。マサユメ帽をかぶってよ」

 

のび太、マサユメ帽を無理矢理ドラえもんにかぶせようとする。

ドラえもん「ぼくの頭じゃかぶれないよ」

 

静香、マサユメ帽を取って自分の頭にかぶせる。

しずか「ありがとうのび太さん。今度は私が、のび太さんの夢をかなえる番ね」

 

しずか、イスにすわって紙に何かを書いてドラえもんにわたす。

しずか「ドラちゃん、この紙をマサユメ帽に入れて」

 

ドラえもん「うん」

ドラえもん、しずかに渡された紙をマサユメ帽にセットする。

 

静香、枕をおいて部屋の床に横になる。

 

×   ×   ×

 

しずか「スヤスヤ……」

静香のかぶるマサユメ帽のZzzの文字のランプが3つとも点灯する。

 

ドラえもん「寝たね」

 

ドラえもん、取り寄せバックでのび太の宿題を取り寄せる。

 

のび太「あれれ? 体が勝手に」

のび太、意志に反して、静香の机に向かって、宿題をやり始める。

 

のび太「雲のクリームはどうなったの?」

 

ドラえもんのポケットから静香のぬいぐるみたちが出て来る。

ゾウのぬいぐるみ「宿題が終るまでダメだゾウ!」 

ペンギンのぬいぐるみ「いつも、しずちゃんの宿題うつしてるでしょ」

 

のび太「とほほ、見られてたのか」

 

ドラえもん、のび太の宿題をのぞきこんで言う。

ドラえもん「ここ間違ってるよ」

 

子ペンギンのぬいぐるみ「しっかりしてよ」

のび太「分かってるよー」

のび太、ぬいぐるみにかこまれながら宿題をやる。

 

おしまい

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